CYCLES NANGO / FUNKY POTATO 2001


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「E.T」早くもホットな正月へ!

あのスピルバーグの異色映画
米でバカ当たり


  • 大阪新聞
  • 昭和57年(1982)9月4日

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━━━心あたたまるSFメルヘン

  •  ”E.Tブーム”がジワジワと巻き起こりつつある。奇妙なイニシアルの「E.T」とは、アメリカでバカ当たり中の映画の題名で、異星人の意。同作品が正月映画として今年末に日本上陸、アメリカに負けず劣らずのブームが予測されるからだ。史上初の前売り券6ヶ月前発売は、すでに大変な人気で、洋画配給会社はニンマリ。この一方、映画に登場する自転車を製造する大阪の輸出メーカーでは、これを機に国内販売にも力を注ぎたいとソワソワ。”異星人”をようした周辺は早くもホットな正月に思いをはせている。

━━━半年前から前売り 史上初 売り上げ65億円見込む

  •  映画「E.T」は、あの「ジョーズ」を作り出したヒット・メーカー、スチーブン・スピルバーグ監督作品。アメリカでさる6月中旬に公開されたところ、これまでに大ヒット。公開後1ヵ月でたちまち1億ドルを稼ぎ、「ジョーズ」の最短記録59日を破って、今後も空前の大入りが見込まれている。ニューヨークっ子の間では「E.Tを観たかい」があいさつがわりになるほどのブームだ。 人気の原因は、こころあたたまる映画の内容。地球に飛来した宇宙船から迷子になり、ひとりぼっちの異星人、E.T君が地球の子供たちと仲良しになる過程のひとコマひとコマがほほえましいSFメルヘンだ。むろん、そこにはスピルバーグ監督の卓抜した演出力が息吹き、あの「ジョーズ」でみせた緊迫感もたっぷり。
  •  このヒット名画、わが国には正月映画で上陸するのだが、様が配給会社CICなどは早くも”思い入れ”たっぷり。これまで配収52億円を稼いで王座の「ジョーズ」をしのく65億円を目標にかかげるほどのハナ息の荒さ。
  •  前売り券は正月用というのにさる8月28日からはやばやと売り出した。6ヵ月前発売は映画興行史上初めて。通常の1ヵ月前をはるかに上回る”スピード発売”だが、すべり出しから「超人気映画の1ヵ月前と同じに好調」と早くもホオがゆるみがち。
  •  同映画はこれより先に関係者試写会を行ったが、これまた異例に”スピードお披露目”。その直後には、CIC内に「E.T委員会」という”宣伝・興行作戦本部”を設置するなど、大ヒットをめざす動きはあわただしく、モノモノしいかぎり。
  •  この”手回し”に落語家、桂文珍はこう嘆いたものだ。「アメリカでひと足先に”E.T"を観たから映画好きに自慢して回ろうと思ったところ、大阪でもソコソコの関係者にすでに見せとる。何のことはおまへんわ、ガックリでんがな」。日本字のない題名でも初めてという”E.Tブーム”の予兆がそこそこに出てきている。

━━━自転車屋さんも拡販に手ぐすね

  •  また、同映画の上陸に胸おどらせるのは自転車輸出の大手メーカー、大阪市東成区大今里南1、桑原商会(桑原拓男社長、従業員70人)。同社がアメリカに輸出しているタイヤの太いモトクロス用自転車が映画に使用されて、あちらでの売れ行きは倍増、さらにこれを機に国内販路を広げたいと-----
  • 「スピルバーグ監督が映画に使う自転車を捜していて、子供に”何がいいかな?”と聞いたところ、子供たちが”クワハラ”と自社製品を推薦してくれたと聞く。おかげでこれまで1ヶ月2千台のモトクロス用自転車の注文が倍増した」(今藤真住常務)とホクホク。
  •  同社では”映画出”を機に”E.T自転車”と名づけ、スピルバーグ監督に意匠登録料を払っている。「車体の白と赤のデザインや社名の配列などが監督のアイデアであったので…。しかし、映画での使用はあちらさんから持ち込まれた話であり、安く独占できた」という。
  •  そのE.T自転車、モトクロス用だけに値段は10万円。---以下解読不可。