CYCLES NANGO / FUNKY POTATO 2001


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異常人気、ナニワの『E・T号』

今里の自転車屋さん”うれしい悲鳴”
SF映画「E・T」に出演、のモトクロス自転車


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  • 昭和57年(1982)12月12日

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━━━生産追いつかず 映画封切りで一層拍車

  •  「E・T」が”ナニワの自転車屋”を走り回らせている。大ヒット間違いなしと話題を集めているSFファンタジー映画「E・T」(米・ユニバーサル社制作、CIC配給)は、来月4日に封切られるが、公開より一足先に”キャラクター商品”の自転車「E・T号」が世界中でブームになっている。モトクロス専用車だが”映画出演”をきっかけに、アッという間に少年たちの”アイドル”になった。おかげで”生みの親”の大阪の自転車会社は創業以来の大騒動、フル回転で注文をさばくのに追われている。「異常人気に恐いぐらいです」とうれしい悲鳴をあげているが、そこは”大阪商人”のこと。「世界中にE・T号を走らせる」とブームは見逃さない。
  •  「ET」は「ジョーズ」や「未知との遭遇」などの話題作で知られるスティーブン・スピルバーグ監督の最新作。かわいい異星人「E・T」(EXTRA・TERRESTRIAL=宇宙からの訪問者)と、地球人のエリオット少年との心のふれあいをモチーフにしたメルヘンタッチなSF映画。日本ではこの4日に封切られるが、7月から公開されているアメリカでは大ヒット。「E・T」をデザインした子供向けの”キャラクター商品”も飛ぶように売れ、ブームとなっているが、そのなかでも「E・T人形」と並ぶ人気を集めているのが自転車の「E・T号」。 この自転車、映画でも絶体絶命のピンチに追い詰められた「E・T」とエリオット少年を乗せ”フワリ”と空を飛ぶ-----という需要な役を演じている。もちろん、本物の自転車は空を飛ぶことはないが、この”生みの親”が大阪市東成区大今里南1丁目19-25にある「桑原商会」桑原拓男社長(39)という自転車会社。
  •  ”映画出演”したのは、同社が5年前からアメリカを中心に---に輸出している「BMX」というモトクロス専用車。アメリカ--同社の販売代理店を通して、スピルバーグ監督がら”出演依頼”が来たのは昨年2月の話。
  • 「監督が映画で使う自転車を捜していて、自宅近くの子供たちに尋ねたら「クワハラがナンバーワン」と、この自転車を指さしてみせたので決めた、ときいている=今藤真佳同社常務(58)
  •  同社は大正8年創業、業界----老舗の一つに数えられる。資本金5千万、年商50億円、従業員70人、15年前から輸出専門にやっているが、”映画出演”----前代未聞の話。しかも「いい映画だろうと思っていたが、まさか商売になるとは…」(今藤常務)
  •  さっそく社内に「E.Tチーム」を編成、映画とまったく同型の自転車をフル生産し始めた。
  •  映画に出るまでは、1ヶ月---約2千台の輸出だったのが---倍以上になり、アメリカ以外のカナダ、オーストラリア、東南アジア各国、ドイツ、イギリス、イスラエルなど世界各国から「E.T号ヲ送レ」の注文が舞い込んでいる。また、日本国内での人気もうなぎのぼりで、国内向けと海外向けの生産に追われっぱなしの毎日。
  •  同社では、この”E.Tブーム”を見逃す手はないと、映画館に「E.T号」展示、アメリカ製の宣伝ポスターを取り寄せて多量に印刷するなどしている「これから映画が封切られるが、どれだけ反響がおおきくなるのか想像がつかず、少し恐ろしい気もします」(今藤常務)と、ブームの恐ろしさ半分、期待が半分といったところだ。