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余録
- 毎日新聞
- 昭和57年（1982）11月26日 木曜日
- 身長1メートル足らず。水かきのついた足、水をはじく皮膚、ギョロリと光る目玉。どうみてもカエルのお化けだ。超能力を備えているが、お世辞にもカッコいいとはいいかねる▲「未知との遭遇」をつくった米国のスピルバーグ監督が新作「E.T.」にこんな奇妙な化けものを登場させた。エクストラ・テレストリアルの略、地球外生命物といった意味だ。全米で大当たりをとり、人形やバッジなどキャラクター商品が、いまも飛ぶように売れている▲宇宙船に乗りはぐれて地球に一人取り残されたE・Tが10歳の少年に出会う。少年は自分の部屋にE・Tをかくまう。E・Tと子供たちの間に友情が芽ばえる。交流が深まるにつれて、この不格好な生物が人間以上に人間的な存在にみえてくるから、観客の心理は面白い▲前作「未知との遭遇」では巨大な宇宙船は出てくるが、顔もよく見えない。顔のない宇宙人。そういえば、本紙ワシントン支局の岸井特派員が「日本は顔のない国だから」と米国人からいわれてギクリとしたと書いていた▲自動車やコンピューター、エレクトロニクス。米国人の目には、日本は巨大な宇宙船にみえるのだろう。機械は高性能だが、顔はない。総裁選に出馬した4人も同じ-------