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プロジェクトX---「今蘇るE.T. BMX」---

「風の中のスバル〜・・、砂の中の銀河〜・・」

世界中の少年たちをとりこにした映画「E.T.」。ETをBMXの前カゴにのせて疾走するエリオットの姿に
自分を重ね合わせたものだ。 あのBMXがMADE IN JAPANでしかも大阪・今里の自転車会社クワハラ製
というのは有名な話。                                     

これは20年のときを経て、今ふたたびET車の復刻にたちあがった男たちの熱い物語である。     



高すぎて手がでない・・・

1982年公開された映画「E.T.」でエリオットたちが乗っていたのはKUWAHARAのBMX。
当時「E.T.」モデルとして市販されていたものはET自転車にあこがれた少年たちにとって
は高すぎる代物であった。(59,800円)                      

「いつか、あの自転車を手に入れたい」「絶対、金貯めて買ってやる」と野心に燃えた
少年たちが自力で買える頃にはすでに.ET.自転車の製造はなくなり、もはやE.T.車は幻の
自転車となっていた。                              


やはりダメか?

あきらめきれない人間は必ずいる。その一人がCYCLES NANGOのオーナー。     
ことあるごとに「もう一回、つくって〜」「E.T.のBMXつくって〜」と働きかけるも色よ
い返事はなかった。                               

そして、数年前USJより「あのE.T.車を展示販売したいからつくってよ」とリクエストが
あった。 しかも「1万円くらいでつくって」ときたもんだ。            

でも1万円のBMXなんて・・・・KUWAHARAとしてはニセモノは作りたくない、という
ことで、この話もオクラ入り。                          

ときあたかも「E.T.20周年記念アニバーサリー特別版」が上映され、世の中BMXブーム、
E.T.ブーム「どうせ作るなら当時と同じものを再現したい」「キチンとしたものをつくり
たい」とようやくKUWAHARA社長はじめ社員一同も燃えてきた。          


どうせ復刻するなら

実は当時E.T.モデルとして販売されたBMXは映画で使われていたものとは若干違うものだ
った。映画で使用されたモデルはKZ-2.0といい、販売されたKZ-2.5と決定的な違いはフレ
ームのバックの形状にある。2.5はループステイである。               

今回復刻にあたり、2.5モデルではなくあえて映画のモデルを再現することにした。   

というのも当時のデッドストックパーツが約300個保存されていたのだ(映画で使用された
実車はKUWAHARAには1台も現存しないよというのに・・)。 そのデッドストックパー
ツというのはフレームエンド・フォークエンド・ヘッドパーツ・ステッカー!こんな
貴重なパーツが残されていたのだった。                    


そして、これらのパーツを惜しげもなく使用され、ついにKZ-03としてよみがえったのだ!

また、このKZ-03モデルは当時にはなかった前カゴをオプション(4500円)として販売され
る。                                       

このコンテナ型の前カゴを復刻するにあたって、映画で使われたものに近いサイズを試作し
た。そして、その前カゴをBMXに実際にとりつけて走ると予想以上にハンドルが取られ、
運転しにくい。また、ブレーキレバーとあたってしまう。               

そこで少し浅型のカゴを今回新たに発注した。でも、1ロット500個。----200個あまるがしか
たない---- 。 あまれば会社でパーツ箱にでもするか。 発注決定!          



夢が現実に

 こうして、限定300台ではあるが、ついにあのE.T.BMXが蘇ったのである。     
(20年たった物価を考えても49,800円なら手が届く)              

ただし、このバイクに乗ったからといって空は飛べない。よい子のみなさんはエリオット
のマネをしないように。                             



経過をたどるとあんまり熱い話ではない。
つくったところで売れる気がしない。でもあんまり周りが「つくんないの?」ってうるさい
し、USJまでもいってくる。当時のパーツは在庫で残ってるし、300も売れる気しないけど
増産しないからロスでないしやってみっか。みたいな調子だ。

でも、当時の子供たちもすでに30代、40代。
自分が乗ってもよし、子供に乗せてもよし、眺めるだけもよし、箱ごとおいておくもよし。
復刻ばんざ〜い!!

「ヘッドライト、テールラ〜イト・・・旅はまだ終わらない〜」



※ この物語はフィクションですが、多少の事実も含まれています。


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